《詩集》反証と感傷

獣心

『獣心』

これで最後
これが最後
そんな言葉の意味も解せない

どこかで麻痺した脳が
朦朧と映すのは一色の君

ぎこちなかった始まりも

糧になって
過去になって
それが切なくて

消化しないように暖めて

獣のような爪を
枷も無く伸ばそうとするのは
得体の知れない感情が
僕を動かしているからで

終身

ただ積もらせていたいと願うけど

劣情の先に在る未来だって
きっとそんなに悪くはならない

裂傷に触れる瞬間の
痺れるような愉悦の底が

見えそうで届きそうなんだ
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