Love Butterfly
 彼女をアパートまで送り届けると、噂の「アニキ」が待ち構えていた。彼女の姿を見るなり、大声で怒鳴る怒鳴る。
「さゆり! こんな時間までどこいってたんだ! 携帯も出ないし、いったい何やってたんだ! おにいちゃんがどれだけ心配したと思ってんだ! さゆり!」
「もう、大きい声出さんといて……」
 ふうん、意外に、可愛い顔、してるじゃん。ちょっと僕の……好みかも?
「だ、誰だ! あの男は誰だ!」
「ミカちゃんの先輩や。送ってもらってん」
 アニキは、ますます顔を真っ赤にして、怒っている。これはもう、収集つけてあげないと、彼女がかわいそうだ。
「お兄さん、遅くなってしまって、申し訳ありませんでした」
「ええ? ああ、あの……」
「僕が引き止めてしまったんです。これからは、気をつけますので」
「ああ、そうですか……あの、どうも、妹がお世話になりまして……」
 へえ、若いのに、しっかりしてるじゃん。真面目そうな、好青年だ。しかしまあ、こんなに似てない兄妹がいるもんだな。
「では、僕はこれで。じゃあね、さゆりちゃん」
「はい、ありがとうございました」
「おやすみ。お兄さんも、おやすみなさい」
 二人は並んで、アニキは仏頂面で、僕を見送ってくれた。なんだかんだ言って、仲の良さそうな兄妹じゃないか。まあ、そうだね。あんな妹がいたら、ああなるかな、僕も。
 村木さゆり……なんとか、入店させれれば、後は僕が、美しいアゲハに育て上げてみせる。
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