こころの温度差
冷たい飲み物のコップを持って
彼女は戻ってきた。

「待ちましたか?」

私は黙って首を振った。

彼女はストローから、
一口飲むと、小さくため息をついた。

「今日は急にお電話してしまって
ごめんなさい。
でも、一度あなたと
お話してみたかったんです。」

精一杯気取って、
精一杯よそ行きの言葉で言ったが
余裕は全然なかった。

小さく頷いた高岡亜矢子は、

「森アヤさんておっしゃいましたね。
同じあやですね。」

焦って自己紹介も忘れていた。

亜矢子は続けた。
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