エリート上司と甘い秘密~彼の正体は私の義弟!?~

さやかの恋

さやかは沃野と付き合っていた学生時代のことを思い起こした。

好きになったのはさやかの方で、中学2年生のバレンタインデーにチョコレートを渡して告白した。

「好きです。付き合ってもらえませんか?」

ドラマやコミックで散々使い古された、ストレートでベタな告白。

でもさやかの口から発せられるまでには、多くの葛藤と緊張があった。

それなのに沃野の返事は「べつにいいけど」と、とてもライトで1秒の逡巡も1%の緊張感もなかった。

さやかは緊張でパンパンに膨らんだハートが破裂寸前だったというのに。

「いいの?」

「いいよ。でも君のこと、特に好きなわけじゃないけど、それでもいいわけ?」

うんうん。

さやかはただ、頷いた。
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