この気持ちをあなたに伝えたい
「かっこいい! ちょっと会ってみたいな!」
「だから・・・・・・二人してどうして同じことを言うんだ?」

 この二人を会わせれば、気が合ってすぐに仲良くなりそうなので、少し不安を覚えた。

「最愛の恋人だったら会いたいよ。友達として挨拶をしたいしね!」
「しなくていい・・・・・・」
「そんな・・・・・・」

 礼雅が最愛の恋人でないことを説明すると、本人はかなり驚いていた。最愛が礼雅のことを話せば話すほど、恋人であることを確信していたから。

「そこまで驚くことか?」
「当たり前でしょ!?」

 何が当たり前なのか、最愛には全くわからない。

「理由は何だ?」
「だってお互いの家に昔から遊びに行っている。デートもしている。他にもたくさんのことをしてくれたんでしょ?」

 一緒に出かけて食事をしたり、遊んだりしたことはあるが、それがデートとは思っていない。

「大学生になることが決まってから、また一緒に行動するようになったんだよね? きっかけは何だったの?」
「えっと・・・・・・」

 最初はカラオケ店だった。あのときは少し会話をしただけで終わり、その後に偶然路地裏で会って、連絡先を教えてもらった。
 それからあの事件がきっかけになり、礼雅の知らなかった部分を知ることになった。

「礼雅さんは最愛に好意を抱いていると思うよ」
「単に子ども扱いしているだけだ」
「そんなことない。最愛、あのことが今も最愛を蝕んでいるの? だから前に進めないんだよね?」

 それは最愛にとって思い出したくないこと。黙った最愛を見て、美鈴は肯定だと思った。

「最愛・・・・・・」
「礼雅お兄ちゃんを恋愛対象として見ていない。それだけだ」
「でも・・・・・・」
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