この気持ちをあなたに伝えたい
 母に電話をした最愛は美鈴の家に泊まりたいことをお願いをした。母は快く許可をしてくれたので、最愛と美鈴は喜んだ。
 小さい頃に最愛は礼雅の家で昼寝をしたことは数回あった。何度か礼雅の家で寝ようとしたことがある最愛だが、両親に反対されて、泣いたことがある。
 懐かしい記憶を思い出して、笑っていると、美鈴は僅かに首を傾けた。

「今日のご飯、何を作る?」
「最愛、実はね・・・・・・」

 美鈴に料理が苦手なことを伝えられた。

「嘘。菓子作りは得意なのに?」
「本当に無理だもの。特に揚げ物が怖い・・・・・・」

 その気持ちは最愛にもわかる。料理を始めたばかりの最愛も何度も怖がりながら、野菜や肉を揚げていた経験があるから。
 料理することに慣れてしまえば、揚げ物を作ることが楽しくなる。

「今度、挑戦してみる」
「ふふっ、頑張れ」

 美鈴は本棚から料理本を取り出して、ページを捲っている。

「冷蔵庫に野菜とか、肉とかたくさんあるの?」
「たくさんあるよ。最愛、何がいい?」

 最愛は美鈴が持っている料理本の和食のページを開いた。

「これだったら・・・・・・えっと・・・・・・」
「魚はある?」

 美鈴が冷蔵庫からブリを出した。これでブリの照り焼きができる。最愛は冷蔵庫の横に置いてある箱の中に入っている数種類の野菜を見て、きんぴらごぼうができることを判断した。それに大根の味噌汁、ひじきの混ぜご飯に決定した。
 一通り決めた最愛に美鈴は小さな拍手をした。

「すごいね。あたし一人だったら、そんなに作らない」

 三品以上は作るように心がけていることを言うと、美鈴に手を握られた。

「お願い、ずっとここに住んで!」
「そんなことできない」
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