この気持ちをあなたに伝えたい
大学生になって
 食事の後、礼雅に自分の番号をメールで送信した。電話がすぐに鳴ったので出た。

「もしもし」
『もしもし、最愛ちゃん? メールありがとう』
「いえいえ、さっそくかけられるとは思わなかった。驚いたよ」
『何していたの? ご飯を食べた?』

 食べる時間が決まっているので、礼雅は最愛が何時にご飯を食べるか、すでに知っている。

「さっき食べたところだよ。ちょっと休憩したら、風呂に入るよ」
『ふぅん・・・・・・』

 風呂に入ることを言って、最愛はすぐに後悔した。嫌な予感が的中してしまう。

『どこから洗うの?』
「内緒」

 いくら仲良しでも、それを素直に言うほど、最愛はもう子どもではない。
 
『いいよ。勝手に想像するから。もしかして・・・・・・』
「か、髪から!」

 即座に返事をすると、笑い声が聞こえ、苦しそうに咳までしている。そんな礼雅に脱力したのは言うまでもない。
 電話をきっかけに最愛と礼雅は再び時間があるときに会うようになった。

「今日、大学の入学式だったんだね」
「うん・・・・・・」

 スーツを着た最愛に声をかけたのは礼雅。偶然マンションで出会った。
 入学式が終わって友達から何人か学生達が眠っていたことを聞いた。朝が早かったので、最愛自身も何度か眠りそうになっていた。

「長かった・・・・・・」
「お疲れ様」
「本当に疲れた・・・・・・」

 最愛はさっさと堅苦しいスーツを脱いで、何か喉を潤すものを飲むことだけを考えていた。

「大人っぽく見えていいね」
「本当? 変じゃない?」

 スーツを着るのは今日が初めてなので、最愛は何だか落ち着かなかった。
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