この気持ちをあなたに伝えたい
 薬局で最愛と礼雅が眺めていたのはいつも使っているシャンプーだった、
 

「もうなくなりそうなのか?」
「あぁ。お父さんの仕事がもうすぐ休みだから、その日でもいいと思ったのだが、今日で終わりそうだからな」
「悪くない香りだな」

 髪に鼻を押しつけられて、最愛の体温が上昇する。右へ移動しようとしても、一緒に来るので、逃げることができなかった。

「どんなシャンプーを使っているんだ?」
「あれ? 最愛、知らなかったか。うーん・・・・・・教えてやらない」
「ああ、そうか・・・・・・」

 知ろうとしたことを後悔しながら、シャンプーを買った。店の中は人が多かったけれど、レジでそれほど待たされることなかった。

「うわっ・・・・・・」

 外を見てみると、いつの間にか雨が降っていた。パラパラと降っているので、傘を差していない人達がたくさんいる。
 最愛がその雨を見続けていると、何かがぶつかったような音を耳にしてその方向を見ると、礼雅が音を鳴らしていた。

「・・・・・・何だ?」
「だって、俺のことをそっちのけで雨に見惚れているから・・・・・・」
「少し見ていただけだ・・・・・・」

 最愛は見惚れてなんかいない。雨を嫌う最愛にとって、雨は不愉快なものだから。

「私、雨は嫌いだ・・・・・・」
「それくらい見たらわかるさ」
「だったら嫌な言い方をするな・・・・・・」
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