俺は、危険な彼に恋をした。
きっと、その日からだと思う。
目の前で母さんと親父を失って。
はじめてわかった、失う辛さ。
こんなに辛いんなら……失うもの何か俺には要らない、失って辛いもの何か要らないって思うようになった。
何一つ失うものを作りたくなくて作らないようにして。
失うものからも、離れていった。
失って、辛くなる思いは二度としたくないって家族を失ってはじめて思った。
優は、変わったな言うけど、その通りだと思う。
「洸?」
「えっ……」
璃空さんの声で、ハッと我に返る俺。
「ぼぉ一としていたから。大丈夫か?やはり、もう少し寝ていた方が良いんじゃないか?」
「あ、いや…ごめん。ちょっと思い出してたんだ。」
「何をだ。」
「母さんと親父が、死んだ時の事を。」
「すまない、俺が……」
「璃空さんが悪い訳じゃないから、気にしないで……。」
「それでも、すまない……。」
「良いよ、別に。」
あの時の俺は、母さんと親父に守られて何一つ何も出来なかった。
そんな自分に腹を立つ気持ちも有る。
だから……
「璃空さん。」
「何だ?」
「俺、ココに居ます。」
「それは、自分の意思で決めた事か?」
「璃空さんの話しを聞いて、決めたんだ。璃空は、殺した奴を探し出すって言ったよね?」
「ああ。」
「俺も、目の前で両親を殺したアイツの事凄く許せないんだ。それは今も変わらなくて…たから璃空さんと一緒に探したいんだ。」
「ソイツの顔を見て居るのか?」
「暗くて全然。あ、けど…紅い瞳だったのと右肩に黒い翼の刺青があったような気がするんだ。親父とやりあってる時、右服が破けた時に見えたんだよね。まあ一見間違いかもしれないけど。」
「黒い翼の刺青?」
「え?ああ…あったよ一な。でも、2年も前なんだ記憶があやふやで。」
「いや、間違いないかもしれない。」
「え?それどうゆ一っ……」
すると、璃空さんはいきなり和服の上半身服を脱ぎ始めた。
「……って!ちょ…璃空さん!?」
いきなりの璃空さんの行動に、戸惑いながらも、俺は左肩に目がいった。
「俺も有るんだよ、左肩に刺青がな。」
「氷の…薔薇?」
璃空さんの左肩には、アイツの右肩に有った黒い翼が刻まれたやつと同じく氷の薔薇が刻まれていた。
俺は、思わず唖然と左肩の刺青を見詰める。
「ま、こんなの見せられても怖いだろうけど。」
「そんな事ないよ。」
「なに?」
「怖がる所か、綺麗じゃん。」
「綺麗だと?この刺青がか?」
「なんてゆ一か璃空さんにぴったりだと思うよ。俺は、綺麗だと思うけどな。」
「……………。」
「あれ?何か、おかしな事言ったかな?」
