恋愛の神様

アイツに聞けばヨカッタんだ。
そしたら、そんな噂は直ぐにデマだって分かった筈だ。

あの『上質好き』が、ブランドで着飾っただけの小娘を相手にするワケねーだろが。

言ってやれば納得して安心すると分かっていて言わない俺も卑怯だ。

虎徹に傷つけられて、俺に逃げ込めばいい。

ザマーミロ、虎徹。
精々仕事に現を抜かしてるがいいぜ。
その間にオマエの一番大切にしてるモンを奪ってやるから。

後になって悔しがっても、俺は絶対亜子を手放さない。
取り返しに来たとしても、マヌケなオマエみたいに奪取される隙なんか与えねーからな。


まんまと自分の腕に飛び込んできた獲物にラッキーと思うべきか、それがムカつく男の代理で苛立つトコロなのか。


複雑な心境で部屋に戻り――――


俺はマジで『シマッタ』と思った。


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