恋愛の神様

ローテーブルの上に布巾に覆われた料理が並んでいた。


……ヤッバ…。
そう言えば、俺、野山を呼び出してたっけ?


亜子の事で頭が一杯ですっかり忘れてた。

遅くなる…てか、ドタキャン?の連絡一本入れてねーし。

慌てて野山を探そうとして、ローテーブルの下にアリエナイ物体を発見した。

何でコイツこんなトコで寝てやがんだ!!

どういうつもりか野山はローテーブルの下にみっちり嵌るようにしてグースカ寝ていた。


「おい!起きろ、チィちゃん………チィッ!!」

「…………ふへ…?………は、ハイッ!!」


俺の怒声に寝ぼけていた野山は飛び跳ねて、しこたまローテーブルに頭を打ち付けた。


「はれ?草賀さん……?え?もう、朝?」


匍匐前進でテーブルから抜け出て、ぶつけた後頭部をさすりながら野山が不思議そうに首を傾げる。

その能天気な態度にぷちっと堪忍袋の緒が切れた。


「……オマエさ、それ、当て付けか?」


感情を押し殺した低い声に、野山がえ?と目を見張る。


「帰れなかった俺が悪いとは思うけどな、だったら潔く帰るなり、寝るなら寝るでベッドで寝てりゃいいだろがっ。」


荒げた声に野山の肩がびくっと竦んだ。


「す、スミマセンッ。寝るつもりはなかったんですけど、ソファーに座ってたらいつの間にか寝ちゃったみたいで…。あの、断じて当て付けで床に転がってたとかじゃなくて、です。」


知ってる。

分かってんだよ、んな事は。

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