恋愛の神様


「クマさんはソイツ等と全然違うんだろ。だから分かんなかったんだろーけどな。自分でも気付かないままに惚れちまってて、自覚もないウチにフラレたから、どーしていいか分かんねぇんだよ。そんなに傷ついてんのに、それすら自覚できてねぇ……だろ?」



キズツイテイル

―――――ワタクシが?


その途端、胸の辺りでジクリと鋭い痛みが刺しました。

脳裏に浮かんだ五月晴れの様な笑顔に鼻の奥がツンとしました。

でも、違いますヨ。
絶対。

だって、ワタクシ、トキメイテませんもの。

いつもみたいに胸がドコドコ騒いで、血圧上昇、動悸に息切れ状態になったりしませんでしたよ。

会ってもソワソワなんて胸がざわついたりはしなかったんです。

寧ろ―――次はどんな無体を強いられるのかと、その出現に不吉なものさえ感じて……。

その度に、どうやって鼻を明かしてやろうかと息巻いて――――


「………ワタクシ」

「うん。」

「ワタクシ、部長に褒められるのが、とても嬉しかったデス。」

「うん。」

「よくやったって褒められると、自分がすごく偉い子になったみたいで……また頑張ろうって思って……おっきな手でワシャワシャ頭を撫でられるのが嬉しくて。」



もっと認められたい。

もっと必要とされたい。

この人に追い付きたい



――――――そう、思ったんです。


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