恋愛の神様




柔らかい朝日に瞼を射抜かれ、ワタクシはそろそろと目を開きました。

まぁ、なんと整った顔立ちなんでしょうね。

焦眉する草賀さんの端正な顔立ちにうっとりと見惚れます。

睫毛がとても長い。
鼻筋がすっと高く、男らしいフェイスライン。

今更ながらにこんな人とワタクシが朝を迎えている事が奇蹟の所業としかいいようがありません。

運命とはかくも不思議なり。

じっと見つめていると、ゆるりと瞼が持ち上がりました。

カーテンを透かす陽光を浴びた瞳は甘いチョコレートみたいに濃いブラウンです。

草賀さんはほてっと脂肪を蓄えたワタクシの身体を抱き枕と思っているらしく、一緒に寝る時は決まって腰の辺りに腕を回しております。

時折、寝ぼけた夜更けなどには、人の腹をふにふにと揉んでは安心したように熟睡にかかります。

………なんだか、乙女として遺憾な対応ですけど………

寝ぼけている時の態度までとやかく言うのは止しましょう。


目が合うと、本日も当たり前のように腰に回っていた腕で引き寄せられました。


「はよ。よく眠れたか?」

「はい、お陰様で。一体いつ寝たのか分からないほどトビマシタよ。」


宣言どおり昨日はいつになくシツコク攻め立てられて、最後には意識があるのかないのか分からない状態になりました。

随分慣れてきた身体ですが、久しぶりに指一本動かすのも億劫なくらいです。

すこしだけ嫌味を込めて言いますと草賀さんはふっと悪びれもなく笑いました。


「大丈夫か?」


それが身体の事を聞いているのではないというのはその優しい目で知れました。

ワタクシは重い体をぎこちなく動かして草賀さんの唇にそうっと自分のを押しあてました。


「アリガトウございます。………草賀さんがいてくれて……ヨカッタ、です。」



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