恋愛の神様
「『卒業』なんてナンセンスですよ。掻っ攫う気なら、もっと早く手を出せばいいんです。女も女で、優柔不断な上、常識のないアホ男についていったって先は見えてると思うんですけどね。」
「アンタ言う事キツ……。つーか、別に掻っ攫う気なんかねーし。」
「では優柔不断男ではなく腰ぬけ腑抜けなワケですね。ワタクシにしてみればどちらもドッチですが。」
撃沈。
俺はテーブルに沈みこみそうになるのを堪えた。
「……別に、イイじゃん?二之宮専務、仕事出来るし、イイ男だし。アイツも幸せになれんだろーよ。」
「はぁ……。つまり猿田さんは、彼女を幸せにしてやる努力などバカバカしいので、誰か変わりの適任者に押し付けようってワケですね。まぁ、人一人を幸せにしようと思ったらそんじょそこらの覚悟では出来ませんもの。その程度の気持ちなら潔く誰かに譲り渡すのが正解ですよね。」
「……………。」
淡々と畳みかけられて、言葉を失う。
そりゃ、俺なんかじゃレベル違いで、二之宮専務辺りなら釣り合うんじゃねぇ?とは思ったけど。
だけど、別にそれは美弥を幸せしてやろうっていう努力が面倒だったからとかそんなんじゃない筈で……
や、でも……あれ?
そーいうことになんのか?
……や、違う筈。
「土壇場で暴挙に出る男はバカだと思いますが、一生腰ぬけを自覚して大人しくするのでしたら、それはそれで良いのではないでしょうか。相手もその場限りで血迷うこともありませんし。」
ニコッと笑って言うが、言う事キッツー!!
俺はとうとうテーブルに突っ伏した。
討ち死。