恋愛の神様
「放しなさいよ!!アンタが理由もなく私を避けるんだから、私だってスキにさせてもらうわよ!」
ヒステリックに叫んで、掴まれた手の上へ身を乗り出した。
唇が―――それこそ頭突きの様な勢いでぶつかった。
噛みつくような、キス?
…………や、単なる失敗。
だけど悠介をぎゃふんと言わせるには効果があったみたい。
フリーズしてしまった悠介からそっと唇を放す。
「スキ―――悠介の事がずっとスキだった。……だから襲いにきたのよ。」
反らされることなく向けられた瞳。
自分のセリフにジンと胸が震えて、目頭が熱くなる。
あーもー、やだ。
キャラじゃないのに………。
そう思ってる間にも熱いモノが目の縁に盛り上がって零れた。
あからさまに悠介はウロタエタ。
「言動が支離滅裂。つか、泣くなよ!」
「がうっ!滅裂なんかじゃないし!!」
私は駄々っ子みたいに喚いた。
「悠介の事がスキだったの!お化け屋敷っ……アンタは忘れちゃったかもしれないケド、悠介がいたから行くって言ったの!だけど、怪我させちゃって―――」
みんなとはぐれて廃屋で蹲っていたら悠介が見付けてくれた。
その時悠介は倒れた家具から私を庇ってくれて怪我をした。
だけど、そんな事一言も言わなくて、大好きなサッカーを休んでいる事で私はそれを知った。
ゴメンナサイとアリガトウ
…ちゃんと言わなきゃ。
そう思いつつ素直に言えなくて、気が付いた時には避けられていた。
きっとお礼一つ満足に言えない傲慢な女だって思われた。
そう思ったら益々意固地になって、言えなくなった。