恋愛の神様
「どういう事?私にハクトのマネージャーを降りろっていうの?」
「それは……まぁ、そう言う事になるな。」
途端、タツキさんは椅子を蹴倒す勢いで立ちあがり、牙を剥きました。
「ふざけないで!私じゃ役者不足だっていうの?そりゃ、時々仕事に穴を開けて迷惑を掛けるけどっ、…でもっ…!」
「龍妃」
上ずる声を静かな声が制します。
「君の仕事ぶりに不満はない。……いや、寧ろ不満がない事に不満なのかな。君は仕事に……熱中し過ぎる。」
「……パパ……」
「君は生き急いでいる。仕事なんて大人になれば否でもしていく。学生の君には学生としてすべき事がある。君は仕事に熱中するあまり自分の事を……自分の人生を軽視し過ぎるんだよ。私はそれが心配だ。」
「…でも。ハクトはどうするの?私がいなきゃ……」
悪あがきに言い募るタツキさん。
パパさんはチラリとワタクシに視線を向けました。
「そこの女性……最近、沢蟹から聞いたんだが、彼女にはハクト君もよく懐いているそうじゃないか。」
「うぇ?」
いきなり水を向けられたワタクシは仰転気味に目を剥きます。
「将来君が私の会社で働きたいというのなら何も言わない。だが今は、学生の間だけでいいんだ、気掛かりなハクト君は彼女に一任して君は君の人生を全うしたらどうだね?」
当然反論するかと思っていたタツキさんは押し黙り、意外にも「考えさせて」と呟きました。