恋愛の神様
私も大きく頷きました。


「一応一般にも開放されておりますが、やっぱり部外者だと入りづらいみたいで、知り合いが羨ましがっていました。」


そんな会話をしている最中、後ろから声がしました。


「河瀬さん。先に席とっときますよー。」


後ろにいたのは多分、彼の部下でしょう。
私とさほど歳が変わらぬ若い男です。
トレイを手に席へ向かいながら、言います。


「おう、頼む。」


そう言ったジェントルマン―――河瀬さんも、受付へ並びます。

二人がランチを手にした頃には席はほぼ一杯で、部下が取ってくれた四人掛けの席に、河瀬さんが「君もよかったらどうぞ。」と声を掛けて下さいました。
お言葉に甘えます。

河瀬さんは取引先の課長さんで、ウチには度々打ち合わせで足を運ぶそうです。

それではまたお会いすることもあるかもしれませんね。
うん。よろしく。

そんな会話が和気藹藹と繰り広げられます。
イイ感じです。

その間に定食を平らげていた部下は、満足そうな面持ちで水を飲み干しぷはっと息を継ぎました。


「うーん。美味しいんだけど、俺的にはカロリーが物足りないかなー。」


それにはワタクシも同感です。

心の中で強く同意します。

河瀬さんはははっと笑います。


「それは、君、若いからだよ。私も若い時は脂肪ウェルカム!だったけど最近はめっきり低カロリー派だねぇ。」

「そんなもんすかねー。」

「そうそ。そのうちガクッとくるよ。」


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