恋愛の神様

無理なの。

だって私、アナタを裏切ったもの。


全てをぶちまけようとした口が優しく塞がれた。

触れたところから、心がジンと震える。


「今は好きだという事で、互いに全部チャラにするぞ。」


私の頭を引き寄せるように抱きしめて、そう言った。



ほっといた事も、裏切った事も、全部。

この人は全部知っていて、言い訳もせず、私に言い訳もさせず、全てナシにすると言う。

しよう、という提案ではなく、するぞ。

虎徹くんらしく、どこまでも自分勝手。



だけど、その勝手さや傲慢さが、好き。




「もう一度、最初から二人で始めるぞ。」


もう、それを突っぱねるなんて出来なかった。




寂しくても、この恋が辛くても。

もう迷わない。

今度こそ間違ったりしない。





私は泣きながら、虎徹クンにしがみ付いた。


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