恋愛の神様

ワタクシは勢いよく深く頭を下げました。


「ゴメンナサイ。スミマセン。申し訳アリマセン!!!…………違ったんです」

「……何が?……ひょっとして俺の子じゃないとか?」

「は!?ち、違います!!そうじゃなくっ――――」


思わず顔を上げて、草賀さんの顔に泣きたくなってしまいます。




「違ったんです。妊娠……シテマセンデシタ。」


たっぷり一分後


「は?」


なんとも間抜けな顔で草賀さんが呟きました。

…………そうでしょうとも。拍子抜けでしょうとも。


「それがその……産婦人科に行きましたら、生理が来ないのは単なる生理不順らしくて…。で、腹痛はやけ食いの所為で、その……」

「……やけ食い」


ハァぁぁと草賀さんは深い溜息を吐いて項垂れました。

ワタクシも居た堪れません。

思えば最近、ストレスでドカ食いしていたのですよ。

お医者様に言わせると『気分が悪くなるほどの腹痛も当たり前』だ、そうで。

ちなみに気が抜けた所為か、生理もほどなくいらっしゃいました。


「スミマセン。直ぐに一報すべきでした。草賀さんがそんなに思い詰めていらっしゃるなんて思わなくて……」


というか、腹痛が想像妊娠でひとまずほっとして状況をすっかり忘れていた、というかなんというか……

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