恋愛の神様



「ハァ……、一連の行動を思い返すとハズくて憤死しそうだ…。」


テンパリ過ぎだろ、俺。

野山がソファーの脇のラグにちょこんと座った気配に、俺は手を伸ばした。

手さぐりで見つけた野山のちっこい手を握る。

柔らかくて温かなその感触に愛おしさと…申し訳なさが一入…。


「…ゴメン、チィちゃん。俺、オマエに対してすっげー勝手。デキたかもしんねぇと思った時、オマエの気持ち考えるよりも先にコレで絶対捕獲してやるって思ったし。」


野山を大切にするつもりで、野山の事を考えているつもりで、結局のトコロ俺は自分の我欲で先走ってんだよな。

………ホント進歩ナイ。


「でも…草賀さんは草賀さんなりにワタクシの事を考えて下さったんですから。…ありがとうございます。」


少し照れを含んだ優しい言葉に鼓舞されて、俺は勢いよく起き上がった。

野山を真っ正面にして居住まいを正す。

さっき言えなかったコト。

本来ちゃんと言うべきコト。

今、言わなきゃダメだ。


「俺はオマエにずっと傍にいて欲しいと思ってる。それが今回、結婚という形でもイイと思っただけで、子供出来たから責任取るってんじゃねーよ?だから結婚はオマエがその気になるまでイイけど…」


同僚以上、恋人未満。

セフレと言いきるのも甚だ曖昧な関係。

俺達の仲直りがその関係に戻る事だってのは、ちょっと違う気がする。

仲直りはしたいけど、元の関係には戻りたくない。

だとしたら、俺は………

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