恋愛の神様
それまで恋愛にはそこそこ憧れを持っておりましたが、何せ男子より猿の方が圧倒的数を誇るような土地です。

キスの経験も皆無です。

すぐに私はのぼせあがりました。
そして初めて味わうキスに夢中になりました。

唇といえども肌の延長。
接吻など肌と肌を触れ合わせる行為とさほど変わらないに違いないと思っていましたが、まるで違いました。
似て否なるもの。
まさに月とすっぽんです。


「ふぁっ……!」


酔うようなキスに熱中していたワタクシは強烈な刺激に声を上げました。

男の手はいつの間にか色気のないリクルートスーツのスカートに潜り込み、大腿部の狭間で蠢いております。

布越しに指で擦られるだけで、身体の奥が熱く疼いて居ても立っても居られない心持になりました。

膝頭を擦り寄せようとするのを男が阻み、強引に開かせます。


「意外とエロイ身体してんのな。もうこんなカヨ。」


揶揄以外の何物でもないそのセリフに、ワタクシは真っ赤になりました。

男の指摘通りそこは漏らしたように濡れていたのですから……。


「その声そそられる。もっと啼けよ。」


男は上から目線でそう言いつけて、指を動かします。

黙れと言われてももう声を抑えることはできません。

眩暈するような苛烈に甘い刺激。
どこそこを捏ねられる度に腰が震え、熱に浮かされたように声を零して身悶えました。




しかしワタクシを翻弄していた刺激は不意に止みました。


快楽に囚われていたワタクシはすっかり聞き逃したようですが、廊下を『面接の子が一人いなくなっちゃったんだよー。』と言う声が駆け抜けたようです。
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