Amarosso~深い愛~を召し上がれ♪
ピアノとバイオリンが織り成すAmarossoは、フレーズがだんだんと螺旋をたどるように天上へと上昇をしていく。
やがて高みへと昇った最後の一音が、クライマックスで跳ねた。
教授は微笑かわからないくらい頬を緩めてから、演奏していた女性二人に目線を送ると続いて曲が始まった。
“主よ、人の望みの喜びよ”
思わず麗華の体に力が入り、目頭が熱くなった。
演奏に併せて、客として来ていたソプラノ歌手が歌いだす。
隣に立っている怜士がどういう顔をしているのかは、見られなかった。
「麗華」
あふれてきそうなものをまばたきで押し戻して、見上げる。