Amarosso~深い愛~を召し上がれ♪
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「あれ、麗華?」
美和は、大学時代に趣味で始めたバーのドアを開けて、思わず声を出した。
麗華がカウンターに座っている。
信州の小学校の勤務になったため、このところあまり姿を見ていなかった。
「休み?」
美和が隣に座ると、バーテンがいつものをカウンターに置く。
「うん。
創立記念日と週末が重なったから、こっちに戻ってきた。
お母様、ちょっと体調が悪いし」
「そっか。
入院?」
「そこまでじゃないけど。
宮内夫人の仕事があったから、代理をしなきゃいけなくて」
「ああ、なるほど」
そしてしばらく二人して黙って飲む。
沈黙が心地いいのは幼馴染の特権か。