Amarosso~深い愛~を召し上がれ♪

     *


「あれ、麗華?」


美和は、大学時代に趣味で始めたバーのドアを開けて、思わず声を出した。


麗華がカウンターに座っている。


信州の小学校の勤務になったため、このところあまり姿を見ていなかった。


「休み?」


美和が隣に座ると、バーテンがいつものをカウンターに置く。


「うん。
 創立記念日と週末が重なったから、こっちに戻ってきた。
 お母様、ちょっと体調が悪いし」
「そっか。
 入院?」
「そこまでじゃないけど。
 宮内夫人の仕事があったから、代理をしなきゃいけなくて」
「ああ、なるほど」


そしてしばらく二人して黙って飲む。


沈黙が心地いいのは幼馴染の特権か。
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