君と奏でるノクターン

2話/君のピアノが聴きたい(横浜×ウィーン)

カフェ·モルダウ。
扉に吊るされた風鈴が、涼やかに鳴る。


「湿っぽい曲弾いてるな~」


理久がジーパンにスタジャン姿で入ってくるなり、ヴァイオリンを弾く貢の肩越し、ポツリ言う。


さりげなく席に着くなり、珈琲を注文し、スマホを取り出す。


「面白い動画、見つけたんだ。ウィーン、ケルントナー通りのヴァイオリン王子」

スマホを操作しながら、弾む声でつらつら語る。


「ほら、観てみ」


ニヤニヤしながら、スマホを差し出し、画面を向ける。


音量を目一杯上げた画面、郁子は耳を澄ませる。


「ウィーン、ケルントナー通りのヴァイオリン王子」という興味深い言葉に、貢もヴァイオリン演奏を中断し、画面を見入る。


「これって……周桜くん!?」


「そう、詩月。けっこう評判になってるらしいんだ」

< 31 / 249 >

この作品をシェア

pagetop