君と奏でるノクターン
「うん、良かった。元気そうで」


笑みを浮かべる。


「詩月はマメにメールも返さないし、電話もほとんど掛けて来ないだろ。あいつ、寂しさやホームシックになるのを悟られるのが怖いんだぜ。メールや電話で愚痴ってしまいそうなのが怖いんだ。素直じゃないよな」


「ったく、不器用な奴」


理久と貢が、ほぼ同時に溜め息をつく。


「しつっこいくらいメールしてやれ。喧しいくらい電話を掛けてやれ」


理久が笑いながら言う。


「あいつは1人で、何もかも抱えこみ過ぎるんだ。同じ方向を見てるなら、悩みや躓きも似てる事があるだろう?あいつに向かって、思い切り愚痴ってやれ。思い切り難問を相談してやればいい」


「……理久!?」


郁子は、それは可哀想だなと思う。


「それで、気づくことがあれば、互いが前に進めるし絆も深まる」
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