君と奏でるノクターン
マルグリットはポーランドの作曲家ショパンが、サロン演奏で人気を博したように、サロンから有名な演奏家が育ってくれたらと思っている。


留学して1ヶ月余り。
マルグリットは詩月が、大学とレッスンに明け暮れる日々を過ごしていることを、ずっと心配している。


講義終了後や休日のレッスンがない日に、詩月が街頭演奏をしていることも承知している。

音楽以外の趣味はないのかしら?と、マルグリットは思う。


「街頭演奏ではリクエストに応えて、何でも弾くって本当なの?」


「ええ、レパートリーはジャンルを問わず広いと思う」


マルグリットは目を細め、ふふっと笑みを溢す。


「即興とか、ぶっつけ本番でも大丈夫?」


「問題ない、即興は嫌いではないよ」


「上等、面白くなってきた」


マルグリットは、嬉しさを隠しきれない子供のような顔をしている。

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