君色-それぞれの翼-
戸谷君の笑い声を初めて聞いた。
その位楽しかった。
しかし気付けば先生の見回りの時間。
片付けるのが大変だった。
ジャンケンで負けたあたしが雪拾い。
勝った戸谷君が楽なモップかけ。
先生が入って来たのは、モップを用具箱に押し込んで席に着いた直後だった。
「服、濡れてるわね。」という坂田の言葉に、あたしは「朝コケました」と即答した。
戸谷君は横で笑っている。
でもそこからは競争再開。
急いでペンを走らせた。
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「真面目にやってる?」
先生が再び見回りに来た時、既に3時を回っていた。
あたしたちは一旦手を止め、息を吐く。
「じゃ、休憩にしましょうか。」
あたしたちの様子を見た先生はニッコリ微笑み、手持ちの袋からケーキとシャンパンを出した。
「メリークリスマス!!」
シャンパンで乾杯し、ケーキを選ぶ。
苺のショートケーキ、チーズケーキ、ティラミス…等、ケーキは5種類。どれも食欲をそそらせる。
「戸谷君どれが良い?」
…聞いてから思った。
戸谷君はきっと「何でも良い」と言うだろうな、と。しかし。
「……ちご…。」
「え?」
「…いや、何でも良い。」
返ってきた言葉は意外なもの。
確かに聞こえた"苺"という言葉。
あたしはフッと笑って、苺のショートケーキを戸谷君の皿に移した。
「…どうも。」
少し頬を赤らめる戸谷君を、心から可愛いなと思った。