君色-それぞれの翼-
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「希咲、受験どうだった?」
翌日、学校で友達にお母さんと同じことを聞かれた。
「ん、まぁいけるんじゃない?」
お母さんの時と同じように答えておく。
早く帰って結果が見たい。
そんな気持ちで授業を受けていた。
内容なんて頭に入らなかった。
終わりの会終了後、あたしは風の様に学校を飛び出した。
今まで学校から走って家に帰った事なんてあっただろうか。
家に着いた時は、息が切れて苦しかった。
ガレージに入ると、若い宅配便の人がチャイムを押そうとしている。
その人は駆け寄ってきたあたしに気付くと、「重いよ」と言いながら荷物を渡してくれた。
包みには、「私立羽坂学園中学校」と太字で書かれている。
あたしは息を飲んで、その場で包みを開けた。
包みの中には大量の書類。
どれを見れば結果が分かるのか、さっぱり分からない。
紙が多すぎて、あたしは小さい紙切れを落とした。
拾おうとしゃがみ込むと、全身が固まる。
身体中が熱くなるのがよく分かった。
小さい紙切れに書かれていた文字。
『合格証』
「やったぁ!!!!」
あたしは玄関で叫んだ。
そしてバタバタと足音をたてながらリビングに走る。
「お母さん!!合格!!」
そう報告すると、お母さんは合格を分かっていたかの様に微笑んだ。
「頑張ったもんね。」
そう言って、あたしの頭を撫でた。
嬉しさで、心が熱くなった。