予想外の恋愛
「………え?」
閉ざされたドアを呆然と見つめたまま、動けなくなった。
「…覚えてたの?」
私しか知らないと思っていた一回目のキス。それを朝田さんは覚えていた。じゃないとあんな発言出来ないだろう。
”俺はお前のことばっか考えてた”
嘘だ。
だって彼には……。
驚きと困惑で、いつの間にか涙はピタリと止まっていた。
…なにかおかしい。
私はもしかしたら、なにかすごい思い違いをしているのだろうか。
唇を通して流し込まれた朝田さんの気持ちは、私が思っていたものと違う気がした。
まさか私はまた、好きな人を自ら傷付けてしまったのだろうかーー。