予想外の恋愛




中島さんは言った通り店の外に立っていた。

その立ち姿は相変わらず格好良くて、長身に細身のスーツがよく似合う。



「お待たせしてすみません」

「いいよ、こっちが無理言ってるんだから」

「それで、一体どこに…」

「ナギサちゃんとこのカフェで話しても良かったんだけどね、顔見知りのお客さんとかいたらナギサちゃんが気まずいだろうから。この近くの喫茶店で待ち合わせしてるんだ」

「待ち合わせ?」



辿り着いた喫茶店の中に入ると、中島さんは奥の席へと一直線に向かった。

一番奥、四人掛けのテーブルに一人で座っている人がいた。
その後ろ姿を見てギクッとなり、体が強張るのが自分でわかった。



「お待たせ、川瀬」

「あら、意外と早かったわね」

「お前が逃げると困るからね」

「…そんなことしないわよ」


中島さんは川瀬さんの向かいの席に腰を下ろした。


「こんばんは、沖野さん」

「…こんばんは」

「ナギサちゃん、俺の隣にどうぞ」


帰りたい。
ものすごく帰りたい。
だけどとてもそんなことを言い出せる雰囲気ではないので、おとなしく中島さんの隣の席についた。


「今日ナギサちゃんに来てもらったのは、川瀬と会って欲しかったからなんだ。
…ほら、川瀬」






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