予想外の恋愛
別れてから随分経つ。卒業してから会った事も一度もなかった。
私の中の近藤くんはあの時で止まっている。
そしてその記憶は、懐かしいけどほろ苦い思い出として残っている。
「…覚えてるよ。元気そうで良かった」
「そっか」
何を話したらいいかわからずに空を見上げた。
今にも雲に覆われてしまいそうな三日月はなんだか頼りないし、星は見えない。
前を見ても上を見ても心細い。
大人になった今でも近藤くんとは上手く話せないと知った。
隣を見ると、近藤くんも空を見上げていた。もしかしたら同じことを思っているのかもしれない。
「…今日久しぶりにナギサのこと見て、すっごい懐かしくなって。付き合ってた頃のこと思い出したらなんか…また話してみたくなったんだ」
「…卒業以来だもんね」
「うん。お互い大人になって、良くも悪くも成長したから…どうかなと思ったけど、ナギサはナギサのままでちょっと安心した」
近藤くんの顔が少し赤い。