予想外の恋愛
「あの、当然の結果だと思うんですけど」
「…そーかよ」
なんですか、そのどうでもよさそうな返事は。
「あれ、朝田、携帯鳴ってない?」
「あ、やべ」
慌てて携帯の画面を確認して通話ボタンを押した朝田さんが席を外した。
「…なんか急に顔つきが変わったような…」
「朝田は仕事になると別人だよ。あれでものすごく仕事出来るからね」
「ええっ!?」
本人がいない隙に中島さんが話し出した。
「ほんとほんと。同期の中では一番の出世頭だし、社内でもエースって呼ばれてるし」
「いつも恐い顔してるし口も悪いし、全然イメージ出来ないんですけど」
「しかもかなりモテる」
「それは嘘でしょ!?」
女子の腕を前足と言ってきた男だ。
怖がられているところは簡単に想像出来るけれど、モテているところは全く想像出来ない。
「あいつ普段は優しい奴だよ。仕事出来なくても自分で考えて行動してるような後輩には、丁寧に仕事も教えるし。その代わりただ手を抜いてる人には上司だろうと容赦しないけどね」
「…どうして私にはあんな態度なんですかね」
「さあねえ。でも会社の女の子達にはすごい人気だよ。だから俺からすれば、ナギサちゃんと言い合ってるのがすごく新鮮」
「あの態度は標準装備じゃなかったんですか」