少女Fの思惑

じゅー

今の疲労感はすごい。こっちの世界来てから一番の疲労感だ。
「…もう歩きたくない」
「おんぶ?」
「嫌」
10個のスタンプをおさめるところの空欄はもう8個うまっている。菅谷くんが本気でおんぶしてくれようとしてしゃがんだけれど私はふいっと明後日の方向を向く。
おんぶなんて嫌だ、恥ずかしい。
「じゃあ荷物持つから。早く終わらせて休もう?」
「…分かった」
「1位狙うぞー!」
「澤口、先いきすぎんなよ」
「最初に山田くんが走ったりするから…」
「ごめんって」
「ふんっ」
ここにきっとかわいい女子の1人でもいたら3人もゆっくり歩いてくれたかもしれないが、残念なことにここには少女F、漫画では名前も出てこないような少女といえるであろう私しかいないのだ。
おばさんは現役男子高校生についていけません。
いや、身体的には若返ってるんだけどね?気持ち的に盛り上がらないから足も進まない。
だるんだるんと歩いたけどゴールに着いたとき、まだ先生しかいなかった。
つまり1位というわけだ。
むぁ、結果を考えればこの疲れも…吹っ飛びはしないけれど少しは軽減させられた。



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