少女Fの思惑

じゅーいち

あれからしばらくたった頃先生たちが話しているのが聞こえてきた。
「2班がいない!?」
「森で迷っているのか…」
2班ってことは宮森さんと一ノ瀬の班だ。
あぁ、あったなこんなイベント。桜が軽く足を捻って一ノ瀬がおんぶしてくれて、ってやつ。
やっぱ同じグループにならなくてよかった。そんな面倒なことあったら絶対イライラしてたし。
あ、かわいい子は好きだから宮森さんのことも嫌いではないよ?でもそれ以上に面倒なことは嫌いだから。
山田くんと目があった。…よく目が合うなぁ。
「心配だなー」
「嘘っぽいな」
「マジで心配してるって!ほら、宮森かわいいし」
「同じ女子である私に向かっていうのか、うぜぇ」
「あっは!冗談!でも俺より他の女子たちのが心配してるっぽいね、主に一ノ瀬のことを」
「そーね。…ったくいつまでここで待ってればいいんだか」
「つめてーのな」
その言葉に一瞬動きを止めてもう一度山田くんを見た。軽蔑を含んでいる視線を想像していたのだけど、なんていうか…なんともいえない表情をしていた。
そんな顔をされた私はもっとどんな顔をすればいいのかわからない。
「…冷めきってるからね、私」
表情を変えず感情の読めない目をしていたけれど山田くんの口はきゅっと結ばれていた。



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