少女Fの思惑

よん

階段で私に話しかけてくれたあの少年は、えっとたしか…そう、山田くん。下の名前は忘れたけど中々の美少年だと思う。桜には友達ができたっぽい。漫画にも出てきてたよな、えっと…倉持と白石。
案の定一ノ瀬は囲まれていて、伊藤さんは中学一緒だった子がいるらしくその子のところで談笑中。
…暇である。
ぼへーっと時計を見れば見るほど時間は進むのがゆっくりになっていく気がしてあくびが出た。まぁ、あと少しだと頬杖をついて目をつむる。目立たないように、浮きすぎないように、それでいていつも一人でいるのが普通な子になろう。そうしよう。
私だってほんとの高校生の時は友達つくるのに必死になってたし、彼氏もほしーいとか言ってたけどさ。ほら、今のこのクラスで友達とか彼氏とか考えるとさ、精神年齢的に?
…おい、今同レベルだろとか思ったやつ出てこいよ、そーだよ、あんまかわんねぇだろうよ。でもちょっと犯罪チックじゃん?高校1年生と成人女性。
キーンコーンとチャイムがなって小さなブラックホールと化していた一ノ瀬のまわりの人がはけていくのがわかって目を開けた。
伊藤さんも名残惜しそうに友達から離れるところのようだ。
「岩泉さん、」
びくりと肩を揺らす。
…そりゃあびっくりしたわよ。
「…なに?一ノ瀬くん」
「よろしくね」
「…よろしく」
わかったからそんなイケメン顔でこちらを見ないでください。


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