雪系男子のゆうちゃん



ポロポロと溢れるあやちゃんの涙を前に、

俺の脳内はパニックに陥る。


「どうしたの?どっか痛い?」


俺は思わず、指であやちゃんの涙を拭う。


「んーん、目薬だよ」

あやちゃんは、ゆっくり首を振ってまた力なく笑う。


「うそでしょ」


「…へへっ」


へへっじゃない。

なんで泣くんだ、分からない。

賢くなりたい。アホは罪だ。



「ゆうちゃん、のこと」

俺が泣く原因をぐるぐると考えていると、


鼻を啜って、ふいにあやちゃんがそう切り出す。


「うん」


「知りたい」


さっきの手紙のことか。


もう、あやちゃんがこんなに泣きながら言うんだから、なんでも教えてあげたい。


あやちゃんが、何にかはわからないが、

何かに不安になってるんだったら

なんでも教えてあげたいのに、教えるほどのことがない。


なんで不安になってるのかもわからない。


あ、でも…


「みーちゃんは…」


俺が「みーちゃん」の名前を出すと、あやちゃんの目が少し開いた。


そして、静かに続きを待っている。



「みーちゃんは、本村美優のゲームの中の名前で、俺、あの人のことみーちゃんって呼んでないよ」


俺の言葉に、あやちゃんはきょとんとする。



いや、浜田はこう言えって言ったけど…


言ってみればこんなこと、どうでもいいんじゃね?
と言う気がしてくる。






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