雪系男子のゆうちゃん
「じゃあ、じゃあ、まだわたしにも可能性があるってこと??」
大野さんは、少し遠慮がちながらも大胆に一歩、歩み寄ってきた。
「…ん」
あるのか?
わからない。
「広義ではありうる」
俺が言うと、大野さんは吹き出した。
腹を抱えながら、なにそれという大野さん。
「わたしの下の名前知ってますか?」
笑って乱れた髪を耳にかけながら、改めてこちらを向き直す大野さん。
「梨花」
俺がいうと、
「……っ!」大野さんはまた両手で口を覆った。
「綾瀬くんが…私の、名前を…呼んだ!!」
…いや、今の卑怯だろ!
そう思ったが、嬉しそうなのでまあいい。
大体、もう11月も半ばなのに、クラスメートの名前を覚えてない方がおかしいけど。