クールな彼の溺愛注意報
報告してたわけじゃないんだけど……。
いちいち口を出すところじゃないし、
あたしは守るようにみゆきを抱きしめたままだまっておく。
銀髪の人は葵衣に向き直ると、軽い調子でひょいと片手をあげた。
「よお、二宮。俺のこと覚えてる~?」
「知らない」
あ、知らないんだ……。
即答した葵衣に、思わず目をぱちぱちさせてしまった。
「はあ? 2年前やり合っただろうが」
「そんなこと、どうだっていい」
若干イラッとしたような銀髪の人の言葉に、葵衣が感情のない声でそう返す。
ちょっと、はらはらしてきた。
銀髪の人にとって、葵衣の態度は挑発でしかない気がする。
冷や汗を感じて、みゆきを抱きしめる腕に力をこめたとき。
葵衣は小首をかしげ、あきらかに相手をあおるような笑みを浮かべた。
「ケンカがしたいなら、いくらでも相手してやる」