クールな彼の溺愛注意報
焼きたてのトーストやつけ合わせが載ったおさらとコーヒーカップをダイニングに運ぶと、
イスをひいた二宮くんがなにかに気づいたように「あ」と小さく声をもらした。
「どうかした?」
「……コーヒー飲めない、俺」
「えっ」
テーブルに食器をことりと置いたあとで、おどろいた声をあげるあたしに、
二宮くんはばつが悪そうに視線をそらした。
コーヒー、飲めないの?
落ち着いてて大人っぽい感じなのに、苦いもの苦手なんだ……。
「か……。紅茶あるけど、飲める?」
かわいい、と口にしてしまいそうになって、あわてて言い直す。
さすがに男子高校生にかわいいなんて言えない。
しかも相手は王子さまだ。