クールな彼の溺愛注意報
い、いや。そんなはずない。
だって王子さまがあたしなんかを相手にするはずないじゃん。
っていうか、そもそも二宮くんは女嫌いなんだから、絶対ありえないよ!
そう頭の中で否定を繰り返し、あたしはさっきまで触れられていた頬にそっと手をあてた。
じんわりと熱を持ってる。
なぜだか……どきどきが止まらない。
しばらくそのまま立ち尽くしていたけれど、
夜ご飯をつくらなくちゃいけないことを思い出して、やっとリビングに入った。
けれど料理をしているときでも、なかなか心臓が落ち着かなくて。
それは、二宮くんとご飯を食べているときも同様だった。
二宮くんはもともと口数が少ないし、お互いにさっきのことについて少しも触れなかったから、
これはもう忘れるべきなんだと思った。