いつも恋して・・・
「今から伺ってもよろしいでしょうか・・・」


「ハイッ」


寂しい余韻に浸る間もなく追い討ちをかけるような秘書からの電話。


電話を切ってスグに秘書が現れた。


ピンポン”


「・・・。」


「失礼します。」


梨佳子は2人分のお茶を用意した。


熱いコーヒーを一口飲んで改めて秘書の話を聞いた。


「この間はあまりお話できるような状況ではなかったように思いまして・・・」


「こちらで少し検討してみたのですが・・・山内さん中国語ダメでしたよね・・・ですから、北京はいかがですか?」


「結構です。」


「いいんですか?」


「ハイ。」


「お荷物はこちらで全部お預かりしますので、いるものだけ送りましょうか?」


「お願いしますm(_ _)m」


「あちらでの生活用品はすべてこちらで用意いたしますので、山内さんは衣類くらいで・・・」


「ハイ・・・分かりました。」


「今日から用意していただけますか・・・?」


「ハイ・・・と言っても、ここにあった物がほとんどなので私の準備はスグにできます。」


「私はいつ発つんですか?」


「就任式の日に・・・」


「・・・そうですか・・・」


「あの・・・」


秘書は用件を業務的に伝えた後で、


「向こうで何か不便があったら僕に何でも言ってください!!できるだけのお手伝いしますから・・・」


松井は社長の言った事をすべて受け入れた梨佳子の姿を余りにもけな気で痛々しく思えた。
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