ツンデレ君の虜。【完】
「今日は岬は一緒じゃないのか?」



「はい。もういいって言いました。」



「お前…大事な助っ人を…」




「いいんです。私の責任だし私だけで!!」



そう明るく言うと先生は少し顔をしかめながら



「お前がいいならいいけどな…?」



と言うと今日の雑用を告げた。






「また外…」



私はため息をついた。



だが今日は対策として花粉症眼鏡とマスク着用なので大丈夫。



「おー花粉来ない~辛くない~!!」



私はそう言い思いっきり外の空気を堪能した。



…何かしてないとまたあの暗い気持ちに押しつぶされるから。



今日の雑用は体育倉庫の整備だった。




「うわ…汚い…」



体育倉庫はたくさんくもの巣が張ってある…幽霊屋敷のようだった。



「どこをどう整備すればいんだろ…」



私は考えた。



そうしていると…



「サッカー部集合!」



「はい!!」



その声を聞いてどきりとする。



私は急いで体育倉庫の影にかくれた。



集合したサッカー部員の中に…岬はいた。



隣には…あの女の人も。



部長が何か話し終えると彼らはまた校庭へ向かった。



見つからなかったことに私はホッとし、また体育倉庫へ入った。



「…よし。片付けるか。」



とりあえず動かなければと思った私は…そう決めた。



私、この汚い体育倉庫をピカピカにする…と。









そうして1時間後には。



「め、めちゃめちゃ綺麗じゃん…!!」



自分で片付けた体育倉庫を見て私は感激した。



1時間で体育倉庫は生まれ変わったのだ。



そうしていると…



「わぁ…!綺麗ね~」



そう言う…女の人の声。



振り返るとそこにいたのは…岬の隣にいたあの先輩だった。




「貴方が片付けてくれたの?」




「あ、はい…」




「すごいわね~!私も見習わなくちゃね。」



そう言い微笑む先輩。




本当に綺麗な人だった。



それに比べて私は…片づけをしたため、ジャージが薄汚れている。



すると。



「亜美さん?」



そう駆け寄ってくる岬。



…名前呼び…?



「見て~この子がやってくれたんですって。」



「え…」



そう私を見る岬。



「っ…」



暗い気持ちが渦巻いてきたため、私はその場を走り去った。



「おい!槙谷!!」



そんな岬の声を背に。
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