ツンデレ君の虜。【完】
ただあの先輩の名前を岬が呼んだだけなのに。



どうしてこんなにもやもやするんだろう。



どうしてこんなに黒い感情が渦巻くんだろう。



「明日、学校休もうかな…」



私はそうつぶやきため息をついた。



なんかもう学校に行く気も起こらないし…



私はそう思い、雛に明日、学校を休むというメールを送った。



こうして私は翌日、学校を休んだのである。






「莉央~雛ちゃんがお見舞いに来てくれたわよ。」



そうお母さんの声がしたのは17時ごろのころだった。



そして…



「やぁ。ずる休みさん?」



「…わかってたの?」



そう言う雛に苦笑する私。



「当然でしょ。幼なじみ兼親友をなめないでよ?」



雛はそう言い明日の用意を教えてくれた。



「あ、それと。伝言。」



「伝言?」



「うん。一つ目は生徒指導の先生からね。 体育倉庫の整備、ご苦労。綺麗だって評判だぞー…だって。」



初めてあの先生に褒められた気がして嬉しくなった。



「それともう一つ。岬からね。」



その名前を聞いた瞬間、どきりとした。


今日私が休んだ元凶だしね…




「お前が休んだのは昨日のことのせいだろ? 俺、なんでお前が逃げたのかわかんない。だから…教えろ。バカ。…だって。」



「とにかくバカを強調しろって言われてさー」と雛は言う。



でも…私はそんな最後の雛の言葉は耳に届かなかった。



教えろって…教えに学校に来いってこと?



いや…そういう意味じゃないかもだけど…



私、ちゃんと岬に言葉をかけてもらえる?



昨日、あんな態度とったのに…



「莉央…明日は学校来るでしょ?」



そんな雛の問いの答えに私は迷う必要なんてなかった。






「もちろん行く!!」
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