ココロの記憶

出会いの朝



───今から5年前

高校1年の夏休みが明け、夏休みボケも治ってきた9月中旬。


私とあの人は、慌ただしい朝の駅で出会った。



ヤバイよ!!
絶対、バス乗り遅れる!!


いつもより1本遅い電車に乗ってしまったばっかりに、バスの出発時間まであと1分に迫っていた。


多くの人が行き交う駅構内を、縫う様に走り抜ける。


バス停に着くと、K高校行きのバスに、最後の一人が乗り込もうとしていた。


『あ、待って』

K高の制服を着た男子が私に気づき、バスに手をかけたまま静止してくれた。



やったぁ!!
めっちゃいい人!!
これで学校間に合う!!


疲れていた足を無理矢理速め、ようやくバスの乗車口にたどり着いた。


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