《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★

昼にバックルームに入ると、秀馬の他にスタッフは誰もいなかった。
予約の客が多くて、やっと昼休憩に入れたのだ。

椅子に座ると、ランチの弁当の他に見覚えのある白いタッパーが目に入ってきた。

手を伸ばして蓋を開けてみる。
あげパンがひとつだけ残っていた。

ーーーあげパン。懐かしいな。給食を思い出す。

手をウェットティッシュで拭いてから、あげパンをつまんだ。強く持つとつぶれそうなので、優しくつまむ。


砂糖がポロポロと落ちそうなので、タッパーを引き寄せた。

タッパーの上で、あげパンを口に入れてみる。

ーーー懐かしい味がする。俺、あげパン好きだったもんなぁ。

秀馬は、あっと言う間にあげパンを平らげタッパーを元の場所に戻し、もぐもぐしながら流しで手を洗う。

ーーー美味かったな。言ってた通り、揚げ物は得意なんだな、あいつ。


秀馬は一子を思い出し、フッと笑みをこぼしていた。



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