《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
「歩にあんたがキスされてるとこ見て、痛いくらいに締め付けられたんだ。ここが」
握られていた一子の手が秀馬によって、秀馬の胸に当てられていた。
ドクドクドクンッて、心臓の音を掌に感じた。突然の出来事に腰が抜けたようになり、しゃがんでいた足の膝が床についてしまっていた。
まっすぐに射るような瞳。
森の中で狩人に見つけられた小動物みたいに動けなくなっていた。
ーーー痛くなった? わたしのせい?
「立てるか?」
先に立ち上がったのは、秀馬だった。
手を引っ張られて、ゆっくりテーブルの下から這い出た。予期しない出来事に頭が真っ白になって何も考えられない。
フォークを掌が白くなるくらいの力を込めて握っていた。
ストンと椅子に腰を下ろし、俯いたままでいる一子。
「でも、おかげでわかったんだ。自分の気持ちの方向が」
下を向いたままで秀馬の言葉を聞いていた。
「俺の気持ちが全部、あんたに向いてる」
一子は、自分の手をひたすら握りしめていた。
ーーー信じられない。真田さんが、雲の上にいる別世界の真田さんの気持ちが私に向いてる? 嘘でしょ……。