《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★
同時に立ち止まり、お互いを見つめた。
斜めに降ってきた雪が秀馬の顔に当たってくる。雪を避けるために目を細く開き秀馬は、ゆっくり手を伸ばした。
「雪がついてる」
今更少しくらい払い落としたとしても、また新しい雪がすぐに降ってくるのだが、秀馬は一子の頭に乗った雪を軽くはらった。
その後、一子の肩の雪もそっと払い、両手でぐいっと一子の体を自分の方に引き寄せる。
少し冷えている一子の体をぎゅっと抱きしめて、秀馬は止めていた息をはあ〜っと一気に一子の後ろに吐き出した。
顔にかかる雪に目を閉じ、雪から守るように一子の体を抱きしめた。
「好きになったんだ……あんたを」
「真田さん……」
「……ん?」
「夢……ですか? コレ」
夢か現実か把握出来ていないような一子を、さらに強く抱きしめる。
「夢の方がいいか?」
そう聞きながら、秀馬は一子を抱きしめたまま、くるりと位置を変えた。一子の背中に雪があたらないように自分の背中を雪よけの盾にする。
ーーーこうすれば、彼女に雪がかからない。
すっぽりと秀馬の体に隠れてしまえる一子。
「長峰仁美さんは?」
「は? なんで今、この場で彼女の名前が出てくるんだ?」
言いにくそうな一子。
「だって………キスしてたから」
秀馬は、パーティーで仁美から無理にされたキスを思い出していた。
「見たのか。あれは不本意なキスだった」
「不本意ですか?」
「そう。不本意じゃないキスは……昼間あんたにしたキスと……」
秀馬は、自分の腕の中に閉じ込めた一子を見つめた。
見つめる先に小さくて淡いピンク色して艶めいた唇があった。
ーーー今日は、カサついてないんだな。
「…今からするキス」
そう言いながら、秀馬は顔を近づける。一子の唇に自分の唇をそっと合わせた。
それだけなのに、何故か特別な儀式のように感じられた。