続*時を止めるキスを —Love is...—


もはや名前も呼びたくないクズ男こと、タカシについて約束どおり先に報告したのですが。

「“無神経男”なんて甘っちょろい!」と、双方からヒートアップした声が飛んでくる始末。

白ワインの入ったグラスを手に持っていた女性は、容赦なく言い放つとそのワインを飲み干す。

「……柚さん、はっきり言いますねぇ」

付き合ってた私でさえ言えないような発言を、事も無げにぶちかます柚さんを見ていると。


「生ぬるいじゃん。あの制裁でも懲りてなかった時点でカスだから」

「え……円佳、何したの」

もう一方の視線こと、円佳がとんでもない爆弾をもって割り入って来た。

少しばかり縮み上がりながら、真正面へ視線を移して尋ねたところ。


「ん?藍凪は知らない方が良いよ?」

にっこり微笑みながら言われても、私はまったく笑えませんが。引きつった笑い顔はさぞ残念でしょうな。

ズボラ女が龍のことで必死に足掻いていた間に、人脈も行動力もある円佳が何を仕掛けたのかは分からない。


ただ彼女の場合、怒らせると怖いのではなく、日頃から割と毒舌だ。それはよく心得ている。——そう、美しいバラに棘があるように。


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