square moon
彼女
吉沼レイラという女性に連絡をしてみた。

僕の携帯からかけてみる。

何コールかしたあと
『はい?』
という女性の声が聞こえた。
『あのー、吉沼レイラさんの携帯ですか?』
と僕が言う。
一瞬の間があり
『はい』
と返事があった。
『あのぅ、宮崎真の息子なんですが…』
と僕が名乗ると
えっ?という小さい声が聞こえ
その後に
『あぁ…この度は…』
という声が聞こえた。

『あのですね、父が吉沼さんにお渡ししたかったものがあったようなのですが…』
というと
『え?そうなんですか?』
と驚きの声をあげた。
『父の最後の願いですしお渡ししなくてはと思いまして連絡しました。』
『あぁ…そうですか。
ありがとうございます。
で、どうすればよろしいでしょうか。』
と少し震えた声で彼女はいった。

『あ~そうですねぇ』
勢いで電話したものの
引き渡し方法まで考えてなかった。

『ええと、吉沼さん、どちらにお住まいなんですか?』
『○○市です』
彼女の口から出た場所は今僕が住んでいるところだった。
『あ~そうですか。
んじゃ直接お渡しした方が早いかな。』
『あ、もしかしてユウさんかな?』
と僕の名前をいった。
『え?』
『お父さんから息子さんお二人の名前は聞いてましたので。
長男さんですよね?』
『はい。』
『ユウさんはこちらにお住まいでしたものね。』
『そんなことまで父が?』
『ええ。よくお子さんの事は話してらっしゃいましたから。
確か○○町にお住まいでしたよね?』
『はい』
『私は△△町なんですよ。』
と割と近くの地名をいった。
『んじゃ近いですね。』
『はい。なのでユウさんのご都合いいときにでもご連絡いただければすぐに取りに伺いますので。』
『あ~それでいいですか?』
『私は構いませんので。

それにしても…お父さんに声そっくりですね。
驚きました。』

『そうですかね?』
『ユウさんは奥さまに似てる、とはうかがってましたけど
やっぱり親子だねぇ。声はそっくりです。』

少しだけ明るい声になった。

後日連絡することを約束し、電話を切った。

彼女に僕たちのことを話してたんだ。
教え子にあまりプライベートな事は話さない人だったから教え子ではないのかもしれないと思った。
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