君だけに、そっとI love you.




「そうですねー。先生がお一人で患者さんを診られていますので、早くても一時間はかかるかもしれません」







掬恵の母親と掬恵が声を合わせて同時に「じゃあ、待っています!」と言った。





患者さんの流れが途中でゆっくりになってしまった為に、結局掬恵の名前が呼ばれたのは1時間45分後だった。







診察室から名前が呼ばれる。







「吉井 掬恵さーん、どうぞ!」





想像をしていたよりも若い男の先生の声だった。






掬恵が小さな声で「……はい」と返事を一つした。






掬恵の母親が「お母さん、ここで待ってるから一人で行ってらっしゃい」と掬恵の背中を押す。






掬恵は不安気な表情を浮かべて掬恵の母親に何度も振り返りながらゆっくりと歩き診察室へ向かった。


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